2015年12月05日

はじめてのたいいく・2







「梶原って、ドリブル、下手」
「……お前に言われたくはないよ」
「俺は、出来なくて当たり前でしょ?梶原は何でも出来そうなのに」


そう言って、イツキは笑う。
確かに、梶原はスポーツ万能、とまでは行かなくても、何でも人並み以上には出来るはずだった。

隣で、とんでもない方向にボールを蹴り出すイツキが心配で心配で、自分の事が疎かになってしまったとは言えない。


「ボール、蹴るのは、足、痛くなっちゃうから嫌だなぁ…」
「つま先で蹴るからだよ。…上、乗っかりそうになってたし。お前が転がりそうでヒヤヒヤした」


梶原の言葉にイツキは唇を尖らせ、不機嫌な顔をする。
そして、耳の辺りにかかる髪を掻き上げ、「……汗、かいちゃった……」と、呟いた。




疲れたからと言って、次のゲーム形式の練習は、見学にする。
イツキが木陰のベンチに移動すると、今度は、清水が梶原の傍に寄って来る。

「……どういうつもりだよ、あいつ、体育なんて…」
「なんか、真面目に頑張るそうですよ。…まあ、いいじゃないですか」
「良くねぇよ。エロ過ぎだろ。何プレイだよ…ったく」

清水は小声で囁き、舌打ちをする。
みんな同じように体育の授業を受けているのに、やはり、イツキだけ異質で…目に付くのだ。

梶原は軽く「ははは」と笑い、清水の言葉を流す。けれど、
その異質さがどこから来るものなのか、清水は知っているのだと思うと…


それもまた、梶原を悶々とさせるのだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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