2015年12月06日

はじめてのたいいく・3






ゲーム形式の練習は、清水がいる組が勝ち、梶原がいる組は負けた。
梶原が気に入らないのは、負けた事ではなく、イツキが…すっかり乙女のような目になって、清水を見ていたからだった。


「先輩、すごい、上手なんですねぇ」
「まあな。ああ、でも、走るのシンドイわ…」


戻って来た清水は笑いながらそう言って、上着の裾で汗を拭く。
チラリと、腹が見え、それをつい見てしまうイツキを、梶原は見て、無駄に苛々する。

別に清水と張り合う気は無いのだけど…
考えてみれば……学業全般、勝ると自負していても、こと、体育だけは、清水に敵わないのかも知れない。

スポーツに汗を流す清水は、梶原から見ても普通に、格好良かった。
体育の授業の度に、イツキが、格好良い清水を見るのかと思うと、……少し、嫌だった。




試合も終わり、最後にまた組を作り、ストレッチをする。
うっかり、イツキを清水に取られてしまい、梶原は気が気ではない。




「…な、イツキ」
「何ですか?…先輩…」
「今まで通り、体育なんて、サボれよ。…お前には向かねーよ」
「…そんな事、……ないです…」

「…周りの奴らが、その気になっても、知らねぇぞ?」



イツキと清水は手を取り合い、身体をくっつけたり伸ばしたりしながら、そんな話をしていたのだけど
どんなに耳をそばだてても、梶原にその声は、聞こえなかった。



posted by 白黒ぼたん at 23:35 | TrackBack(0) | 日記
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