2015年12月16日

不思議な間







その日、なんとなく教室で、清水と2人になってしまった。
イツキは早く帰ろうとカバンにノートを詰め込み、清水はそれを、楽しそうに眺めている。


「…そんなに急がなくてもいいだろ?」
「梶原と、図書室で待ち合わせてるんです」
「ふぅん、やっぱり仲良しコヨシなのな、お前ら」


そう言って、清水はニヤニヤ笑う。その言葉がどこか障って、イツキは清水を見る。


「…先輩、この間の朝、何だか教室、変じゃなかったですか?…もしかして、俺のこと、何か、話してました?」
「何かって?」
「……俺が、……変だって…、こと……」


不安気な表情を浮かべ、イツキは押し黙る。
自分が回りからどう思われているのか、一応、多少、気にはしているのだ。

自分の本当の姿を知られたら、学校に来るどころの話ではなくなる。

本当は、自分は、こんな場所にいてはいけない事くらい……知っていた。



「…何か話してたかな?…お前のドリブルが下手くそ過ぎって話だったかな」


清水はそう言って笑う。
その時丁度、梶原が、イツキを待ちきれずに教室に迎えに来る。
一瞬、三人、顔を見合わせ、不思議な間になるのだけど
特にそれ以上は何もなく、「じゃ」と言って、教室を出るのだった。




posted by 白黒ぼたん at 22:39 | TrackBack(0) | 日記
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