2016年01月06日

勘違い






何かが間違えているのかと、ふと、思う。
イツキを自分の手の内に押し込め、求める欲望のすべてを与えているというのに
一向に、イツキの眉間のシワは消えないまま。
どこか苦しく、もの悲しいのは、黒川にさえ、解る。

頬を2,3回叩き、尻を叩き、髪の毛を掴み、顔をこちらに向かせても
どうにも。
イツキが、自分を見ようとしていない気がする。



「………何だよ。……まだ拗ねているのか?」
「……拗ねてなんて…、ない…」
「お前は解り易いな。文句があるなら、はっきりと言え」
「文句なんてないよ。……あっても、…言わない」
「ふん」



言い合っていても埒が明かないので、噛み付くようなキスをすると、口の中に血の味が広がる。

抱き締めても、あまり、熱くはない。



「イツキ」
「マサヤ」



名前を呼んだのはほぼ同時で、お互い、顔を見合わせ、視線の奥の真意を探る。




ふと、イツキの力が抜けて、素直に黒川の腕に身体を預ける。

それで、イツキが自分に従うようになったと思うのは、黒川の大きな勘違いだった。




posted by 白黒ぼたん at 00:16 | TrackBack(0) | 日記
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