2016年01月06日

イツキの提案






「……ハァ?」



平日昼中。
マンションからほど近い場所にある定食屋で、イツキと黒川は食事を取っていた。
明け方まで続いていた運動のようなセックスで、余程腹が減ったのか、特に弾む会話もなく黙々とメシを口に運び、
最後に、味噌汁で流し込み、一息ついたところで、イツキがある提案をする。

黒川は、煮物を喉に詰まらせそうになり、慌てて、熱いお茶を飲み、
素っ頓狂な声をあげて、イツキを睨む。



「…何を言っている。…馬鹿か」
「馬鹿じゃないよ。…いいじゃん」
「お前に出来る訳、無いだろう?」
「出来るよ。…アルバイトくらい」



イツキは突然、アルバイトをしたいと言い出したのだ。
それは、人の道から外れた仕事で金を稼ぐ黒川への当てつけのようなものだった。
そして、そうは言っても自分も、その黒川の金で…他人を蹴落とし欺き、時には死に追いやり得た金で、生きているのだ。

今、食事をしたこの代金も、その金で賄われる。



「…好きにしろ。どうせ問題を起こすだろうがな。…痛い目に遭って来い」



イツキの思いを知ってか知らずか、黒川は端から馬鹿にした様子で、そう言う。
ともあれ、とりあえずこれで黒川の了承は得られたと、イツキは鼻息を荒くする。




事の結末は、黒川の言った通りになるのだけれど。


posted by 白黒ぼたん at 22:09 | TrackBack(0) | 日記
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