2016年01月09日

昼食は鯖定食







「バイトぉ?お前がぁ?高3のこの時期にぃ?」
「…そんなに大騒ぎする事じゃないでしょ、梶原」
「なんだよ、急に。何かあったのかよ?」
「何も。…ただ、ちょっと…。自分でお金、稼いでみたいなって…思っただけだよ」


昼食の鯖定食を吹き出しそうになりながら、梶原は騒ぐ。
イツキの言動には驚かされる事が多いが、今回もまた然り。


「それで、梶原、何か知ってるかなって…。…いいバイト。あんまり、疲れなくて…、人に会わなくて、短い時間でいいの」
「そんなん、知ってたら俺がやるよ!……何?何か欲しいモンでもあるの?」
「別に。…ただ本当に…、ちゃんとした方法で、お金、貰ってみたいだけ」


そう言ってイツキは塩サバの身をつつき、ちょうど当たった骨に困りながら、唇を尖らせる。

普段、イツキが、どんな風に「金」を得ているか知らない梶原には、イツキの言っている意味が解らない。


黒川がどれだけ人を傷つけ欺き、陥れているのか。
イツキがどれだけの男に抱かれ、心と身体を切り売りしているのか。
梶原には想像もつかないだろう。




「…お前って、たまに変な事、言うよな。…ああ、でも、バイトも、社会勉強の内かなぁ…」


そう言って梶原は最後の味噌汁をすすり、イツキに向かって、屈託のない笑顔を向けるのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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