2016年01月16日

放課後







まだ数人は教室に残り、ざわざわとした雰囲気の中、ふいに清水が梶原を呼び止める。
イツキは終業のベルと同時に、教室を出てしまっていた。


「…なあ。…あいつ、どうしたの?」
「…どうって…?」
「ここんとこずっと。何だか落ち着かなくね?……様子が変だ」
「……さあ」


梶原は図書室に戻す本を整理しながら、少し、とぼけてみせるのだけど
清水が、手に、アルバイト求人誌を持っているのを見て、おおよその見当はついているのだろうと思う。
求人誌は、イツキが机の中に忘れて行ったものだった。


「…もしかして、何か、バイトしてるとか?」
「いや。……探してるみたいですけど」
「…何で!?」
「知らないっすよ。……ただ」



イツキがアルバイトをしてみたいと言い出した本当の理由は、梶原にも解らないのだけど。

おそらく、確かめてみたかったのだと思う。

自分が、まっとうな方法で、金を稼げるのかという事を。



「……イツキなりに、頑張りたいみたいっすよ。……ちゃんと、したいって…。
ちゃんと働いて、お金、貰ってみたいって…」


「……そっか。……あいつ、そんな事、考えてたんだ…」



たったそれだけの説明だったが…
…イツキが、ちゃんとしていない方法で金を得ていることをしっている清水には、
何となく、伝わったらしい。



イツキに理解を示す清水に、梶原は、少し嫉妬した。




posted by 白黒ぼたん at 23:29 | TrackBack(0) | 日記
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