2016年01月19日

佐野とイツキ・2







「あっはっは。今更、何言い出すんだよ、イツキ。そんなモンだろう、俺らの世界は…」


言って、笑って、肉を食べて…、佐野はふと、思い当たる。
いわゆるヤクザと言われる自分と、イツキは、違った。
現状はどうであれ、イツキは自ら望んでココに来た訳では無い。しかもまだ、若い。


「……まあ、……お前がそう思うのも…、解るけどな。……解るけど…」


上手くその先が続けられなくて、佐野はとりあえずビールを飲む。
二本目のビンはすでに空になり、追加でもう二本、頼む。
一緒に、イツキに、他に何か食べたいものはないかと尋ねる。
そんなさりげない気遣いの、ただそれだけでも、イツキは嬉しい。


「…骨つきカルビと上ハラミ。……佐野っち、ありがと」
「…は?何言ってんだよ。…ああ、あと、ウーロン茶」


一応、ウーロン茶をイツキ側に置き、そしらぬ顔で、ビールも注ぐ。
…多少、酒に酔えば、この後どこかに連れ込めるのではないかと…思っていない訳でもない。




「…でもよ、イツキ」
「…ん?」
「金に、汚いも綺麗も無いだろ。お前が貰う金だって、タダで貰っている訳じゃない。
お前が、身体張って、している事の対価だ。
大威張りで貰って当然のものだ。…だろ?」



焼き上がった骨付きカルビにハサミを入れながら、佐野はそう言い、イツキを見ると、


イツキは何故か泣きそうな顔をして、こくんと、頷くのだった。



posted by 白黒ぼたん at 20:30 | TrackBack(0) | 日記
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