2016年02月11日

ちょっとした話・4






連れて行かれたのは歩いて数分程の場所にあるビルの2階だった。
扉には「中央ファイナンス」と書かれていた。
室内は入ってすぐにカウンターがあり、本当に何か、金融系の事務所のようだったけれど
その奥の応接テーブルにはビール瓶と、吸殻が山盛りの灰皿が置かれ、脇には何が入っているのか解らない段ボール箱が積まれていた。

男はイツキと沼原たちをソファに座らせ、自分も向かいに座り、テーブルにどんと足を乗せる。
他の男も周りを取り囲み、煙草をふかせながら、にやにやと笑う。

その、ただならぬ雰囲気だけで、女子2人はパニック状態になっていた。
勿論、そうさせる事が、男たちの狙いだった。



イツキは、
男たちに言われるがままこの場所に来ることに、多少の躊躇もあったのだけど、
逆に、こんな場所の方が、落ち着いて話が出来るような気もしていた。




「さて。どうしようねぇ。どうやって支払って貰おうかな? 三十万」

半ばからかうように男がそう言うと、沼原は泣きながら首を横に振る。
どうしたって、彼女たちに用意出来る金額ではない。


「親御さんに相談する?でも、まあ、ぶっちゃけ…チケット転売は違法だからねぇ…。学校とかに知られてもまずいんじゃねぇの? 大騒ぎになるよねぇ…」


自分達が行っている悪事はさておき、そんな事を言って、恐怖心を煽る。
普通の相手なら怯え、混乱し、まともな判断が出来なくなる頃合。


「…いいバイト、紹介しようか?…君たち、女子コーコーセーでしょ?…稼げるよ?」

「…三十万で良いんですか?」


男が身を乗り出し、沼原に良からぬ提案をし始めた時、ようやくイツキが口を挟んだ。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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