2016年02月17日

ちょっとした話・9






「…100万!?」


突然の値上げに、イツキはつい、声を上げる。
黒川という得体の知れない男の登場で、少々気が動転したのか、ハッタリを効かせたのか。
当然、それくらいの金額で、黒川が驚くはずもないのだけれど。



「…100万の迷惑料だと。…お前、何をしでかしたんだよ?」
「…何もしてないよ。…この子たちがちょっと…、巻き込まれただけだよ…」
「この子たち?…なんだ、お前の女か? …一人前に立たせてたのか? 美人局かよ?」
「違うよ!」

半ば痴話げんかのように、黒川とイツキは話しを続ける。
正面の男は苛立ち、靴のつま先をコツコツと鳴らし始める。

「迷惑料ねぇ…。払えなければ、どうなるんだ?」
「…なんか、…バイト、…紹介するって」
「あっはっは、そりゃぁ、いい。お前、バイト、したがっていたじゃないか!稼がせてくれるぜ?きっと」
「…マサヤ!」


「…おいッ」

2人の話を中断させるように、勢い、男が立ち上がる。
テーブルの縁を蹴るのは、もう何度目だろうか。威嚇にしてはすでに効果は薄い。

「いい加減にしろ! 払うのか、払わねぇのか、どっちだよ! 早くしろや!」



怒鳴りつける男に、イツキは、心の奥で、もっともだと思う。
無用なトラブルを避けたいために、単純に、一ノ宮に、お金だけを借りてしまおうと思ったのに。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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