2016年03月01日

テスト、終わり







「……俺、テスト中だから、そっちには行けないかも…」
『ああ、いい。俺も今週は忙しい。じゃあな』


黒川との電話は簡単に終わった。
また、横浜での仕事が入ったらしく、何日か泊まり込みになるらしい。
イツキはどこか安心したように、ふうと息をついて、ケータイをソファの上に放り投げる。
それから、また、梶原が作ったノートを開き、とりあえずその全部を、自分のノートに書き写す。


梶原も、暇では無い筈だ。
それなのにテスト前になると毎回、イツキのために、要点を解り易くまとめたノートを作ってくれる。
「それが自分の勉強にもなるから」と、梶原は言うのだけど、負担は少なくはないだろう。

「……ほんと、……いい人…」

イツキは小さく呟いて、せっせとノートに文字を書き写す。
せめてこれ位は一生懸命やらなければ、梶原に申し訳ないと、イツキでさえ、思うのだった。




二日目の試験も終わり、ようやく教室の、ピンと張った空気が緩む。
この日は午前中でお終いなので、梶原は帰り支度をしながら、この後、イツキをどこかに誘おうかと考える。


「……な、イツキ……」


と、振り向いたその先には
イツキと、すでにイツキに何か話をしている、清水の姿が見えた。


梶原が近寄ると、清水は、
最後に一言、と、イツキの耳元に顔を寄せ、何か話をして

そして、イツキの頭の上にぽんと手を一つやって、その場を立ち去るのだった。





posted by 白黒ぼたん at 20:34 | TrackBack(0) | 日記
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