2016年03月03日

気になる話






「……先輩と、何、話してたんだよ?」
「ん?」


学校の帰り、イツキと梶原は駅前のファミレスに立ち寄る。
パスタとハンバーグとグラタンをテーブルに並べ、分厚いステーキにナイフを入れながら、イツキは梶原の質問に答える。


「…別に、何も。…テスト、どうだった、とか…そんな事」
「それだけ?」
「それだけ」


それは本当の事だった。
けれど、イツキと清水の仲を怪しんでいる梶原にすれば、それだけにしても、気になる話。
…もっとも、清水も、梶原が気にするのを解っていて、あえて、見せつけていたのだけど。



梶原はライスの上にハンバーグを乗せ、ガツガツと口に運ぶ。
満たされない気持ちは空腹な訳ではなく、もっと、イツキと密な関係になりたいという欲求だった。

身体の関係、とまでは行かなくても、もっともっと。
何でも腹を割って話せる大親友。頼り、頼られ、いつでも一番傍にいる存在になりたかった。


「…テストも終わって、これで少し、落ち着くかな。来週は課外授業があるぜ?
夏になると忙しくなっちゃうし…、その前に、どっか遊びに行く?」

「……梶原、グラタン、冷めるよ?…食べないなら、貰ってもいい?」



梶原の密かな想いは、本人すら気づかないまま、宙に浮いたまま。

それでも、この普通の時間が何より楽しくて、貴重なものだということは、
ちゃんと、イツキにも、解っていた。





posted by 白黒ぼたん at 00:29 | TrackBack(0) | 日記
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