2016年03月07日

簡単な罠・4






眠気を感じたのは、腹が満たされたせいかと思っていた。
食事もあらかた終わり、そろそろ席を立とうかと思ったのだが、身体が重い。
酒や、食事に薬を盛るなど、そんな類の事を言ってはみても、本当にそんな事をされるとは考えていなかったのは、
やはり、加瀬が、教師だから…という事もあったのだろう。

もっとも、イツキの体調の変化はゆっくりと、ごくごく僅かだったので、イツキ自身、それを疑うことも無かったのだけど。



「……俺、……帰ります…」
「そう?…眠たそうだねぇ、ちょっと休んで行けばいいのに」


笑う、加瀬に、イツキは首を横に振る。
これ以上長居をしては、本当に寝入ってしまいそうだった。






「……ああ、丁度良かった…」


イツキが「ごちそうさまでした」と言って席を立とうとした時、短いノックと同時に、扉がガラリと開く。
加瀬は、その客が訪れる時間を知っていた様で、グラスの酒を煽りながら、そう呟く。



それは、店の従業員でも、見たこともない男でもなかった。



男は、部屋に入って来ると、立ち上がろうとしていたイツキの肩を押さえつけて、また、席に座らせる。
そして自分もそのままイツキの隣に座り、親しげに、加瀬に挨拶などするのだった。




posted by 白黒ぼたん at 21:16 | TrackBack(0) | 日記
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