2016年03月08日

簡単な罠・5







「丁度良かったですよ。…イツキくん、帰る、なんて言い出してね…」
「…ん?…締めの雑炊、食って無いだろう?……めずらしい、グラスも空じゃねぇか…」


男が座ると、向かいの加瀬が、空いていたグラスに酒を注ぐ。
男はそれを一気に飲み干し、今度は一升瓶ごと貰うと二杯目を注ぎ、隣のイツキのグラスにもそれを注ぐ。


「飲めよ、ここの酒はうまいぜ?」
「………西崎さん、が…、何で……?」
「俺と加瀬さんが知り合いって、もう知っているんだろう?…お前の話はちょいちょい聞いてるぜ?学校でも、相変わらず大安売りしてるみたいだな」



西崎は笑い、煙草を取り出すと、口に咥え、火を付ける。
ゆっくりと流れる紫煙に、イツキは、少し混乱する。



西崎のコネで、この学校に入ったことは知っていた。
学校内部に、裏と通じている人物がいて、それが加瀬であることも解っていた。
西崎と加瀬が繋がっている事も解っていたのに、その2人がこうやって揃って現れるとは、思ってもいなかった。


イツキは、加瀬と西崎の顔を交互に見遣り、言葉を詰まらせる。

息苦しさを押し流すように、うっかり、酒のグラスに口を付けてしまい、慌てる。



西崎はすでに残った鍋の具材を皿にあけ、だし汁にご飯を入れていた。





posted by 白黒ぼたん at 20:42 | TrackBack(0) | 日記
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