2016年03月09日

簡単な罠・6






「…西崎さん、俺、帰ります…」
「まあ、待てよ。もうすぐ雑炊が出来上がる…」
「こんなの、マサヤに怒られちゃう…」
「メシ、食うだけだろう? そんな事で社長が怒るかよ?…それとも」


西崎は鍋の蓋を開け、様子を伺う。
丁度良い塩梅だったようで、そこに青ネギを入れ、軽く掻き回す。


「メシ以外の事でも、期待してるのか?……ん?」


小馬鹿にしたように西崎は笑い、イツキに、イツキの側にある小皿を取ってくれという風に、顎をついと向ける。
『メシ以外の事』を期待しているのは西崎の方だろうに、イツキは不機嫌そうに頬を膨らませ、小皿を取る。


それでも、玉子で閉じた雑炊はふっくらと仕上がり、その香りだけでも、美味しそうだと解った。




「…何なら、社長に電話して、了解を貰ってもいいぜ? …お前の、学校での悪さも、全部話すけどな」
「…悪さ、なんて、してない……」
「加瀬さんとヤったんだろう?……他にも先生、垂らし込んで、成績を融通して貰ってるんだってな、……ヒデェよなぁ」



西崎の言葉はすべてが本当の事では無かったけれど、嘘、とも言い切れなかった。
イツキは西崎を睨み、頬を膨らませたまま、雑炊が入った小皿に口をつけた。



posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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