2016年03月15日

簡単な罠・10







「……あいつは?」
「加瀬さんか?…先に帰ったよ」


西崎にも好きなように抱かれ、そのままベッドで少し寝入ってしまったイツキは、目を覚ますと、そう聞く。
「加瀬さん」と親しげに呼ぶこともないし、まして「先生」とは、到底呼べない。



「…なんで、あいつと…、こんな…、こと…」



まだ醒め切っていないのか、イツキはたどたどしく単語を繋げ、独り言のように呟く。
傍のソファで煙草を吸っていた西崎は太った腹を掻きながら、イツキを見遣る。


「…お膳立てして欲しいと言われてなぁ。…加瀬さんとは学校以外でも、イロイロあってなぁ…。……お前もそうだろう?」


西崎は煙草を灰皿に押し付けると立ち上がり、イツキが寝るベッドへと戻る。
端に座り、素肌に毛布を掛けただけのイツキの身体を、手のひらで何度も擦る。


「…色々、融通利かせて貰っているんだろう?ギブアンドテイク、だろう?……たまに、ヤらせたっていいじゃねぇか、減るもんじゃねぇし」


イツキの肩を抱き、上から圧し掛かる様に被さり、耳元でそう囁く。
見開いたままのイツキの目には涙が溜まり、瞬きをする度に、零れ落ちそうになっていた。


「………こんなの、マサヤが……、……怒る…」
「…ん?……ちょっと遊ぶくらい、構わないって言っていたぜ?」
「……言わないよ…」
「…ふふ。…まあ、社長も横浜でヨロシクやってるんだ。お前だって、いいだろう…」



そう言いながら、西崎の手は再び、毛布の中に潜って行くのだった。





posted by 白黒ぼたん at 22:02 | TrackBack(0) | 日記
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