2016年03月19日

はらぺこイツキ






『悪いな。…明日、銀座の…、ああ、先月行ったイタリアンだ。…いや、お前一人だ』
「……しごと?……俺?」
『ジジイと飯を食うだけだ。まあ、その後どうなるかは知らんが…、お前の得意なヤツだろう?』



一方的にそんな事を言って、黒川の電話は切れた。
イツキは納得の行かない顔で、しばらくケータイを握りしめていたのだけど、それを部屋の隅に放り投げた。



黒川は、自分が、他の男に抱かれるのを、煩く詮索しない。
そしてそれを許す代わりに、男に抱かれる事は大したコトでは無いのだろうと、自分を他の男に抱かせる。
以前のような「仕事」では無いと言うけれど、内容は、ほぼほぼ同じで区別はつかない。


身体を開くだけだと割り切ってはいるものの、それで全て了承出来るほど、イツキは達観していない。


黒川は…本当は、自分がどうなろうか、まるで関心が無く、どうでも良いと思っているのかも知れない。


そんな事を思ってしまい、それではまるで、自分が本当はその逆を願っているようで、それが悔しい。



「……はー……」



イツキは解り易い大きなため息を付いて、ソファにごろりと横になる。


寒くて、どこか満たされないのは、多分、お腹が空き過ぎているからだろうと思った。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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