2016年03月23日

開かずの扉







真夜中。
部屋のソファで黒川は、忌々しげに紫煙を吹かせていた。
すでに灰皿には吸殻が、軽く山を作っている。

「……ああ、クソ…」

小さく呟き、持つところも無い程短くなった煙草を灰皿に押し付け
黒川はソファから立ち上がる。

そして、バスルームの前まで行って、…すでに小一時間、閉め切りになっている扉を、コツコツと2回ノックした。



「…イツキ。いい加減出て来い」

声をかけるも、返事はない。
先刻まで聞こえていた、すすり泣く声も、今は収まり静かになっている。

「いつまで拗ねているんだ、おいっ」

そう言って、今度は少し乱暴に、握り拳で扉を叩いた。






数時間前。
仕事を終えた黒川が部屋に来ると、イツキは、留守だった。
またどこかで遊んでいるのかと、少し機嫌を損ねたところで、程よく酩酊したイツキが帰って来る。

髪は濡れ、シャワーの後だと解る。
身体も、どこか……生臭い。


「またどこぞで股を開いて来たのか?尻軽め」

話を聞く前に、先に、口と手が出てしまった。


そして、そのすぐ後に、今夜はイツキは、自分が頼んだ「仕事」のため、男に抱かれに行っていたのだと思い出した。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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