2016年03月25日

開かずの扉・3







もうじき6月だとはいえ、夜はまだまだ冷える。
濡れた髪のまま帰り、そのまま脱衣所に閉じこもり、おまけに、黒川が乱暴に扉を叩くまで、少し転寝をしてしまった。
イツキ自身、気付けば酷く寒く、手足は冷たい。
これから風呂に入る気力も無く、ならば早く布団に潜ってしまおうと、脱衣所を出たのだ。




黒川がイツキの身体を抱くと、衣服ごしにも、冷気が伝わるようだった。
手を伸ばし、イツキの手を探し、握ると、やはり指先も冷たく小さく震えさえしていた。



「……馬鹿が…」



思わず、黒川はそう呟いてしまう。



「…どうせ、馬鹿だよ。…次は何?、誰?……マサヤがいいって言った相手と、ヤってくればいいんでしょ?」

「…違うだろう」




黒川はイツキの手を引き、イツキの身体を自分の方へと向ける。
キスをしようと顔を寄せると、イツキはそれを拒むように、顔を横に背ける。
それでも無理矢理、顔を向かせ、唇を重ねるのだけど、イツキの唇は真一文字に結ばれたまま。



それは、まるで、開かずの扉のようだった。





posted by 白黒ぼたん at 22:48 | TrackBack(0) | 日記
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