2016年04月03日

犠牲者





「煙草、吸って来る」


と、食事中に黒川は席を立つ。
イツキは白玉ぜんざいを食べながら、やっと人心地ついたという風に、小さく息を吐く。
隣の席のサラリーマンが身を屈め、イツキの足元を気にしていたので…何気なくイツキも足元を見ると、ボールペンが落ちている。
先刻の騒ぎのついでに、落としたのだろうか。

イツキはそれを拾い、サラリーマンに手渡す。



「………あ、………ど、どうも……」



それだけの事なのに、サラリーマンは耳まで赤くし、言葉を詰まらせる。
その様子にイツキは、…もしかして…と、思い当たる。



「………話、………聞こえちゃいました?」
「……えっっ…、………は、はぁ………」
「……ごめんなさい。……朝から、変な…話で……」


イツキはそう言って、照れくさそうに肩をすぼめ、はにかんで見せた。





この子が…



あの強面の男とあんな事やこんな事をする関係で、昨晩は尻を舐められ、どうにかなってしまう程、どうにかなるなんて……。
あの強面の男がメロメロになる程の可愛い顔なんて、一体、どんな顔なんだろう…。
そして、この後もまた、あの男とこの子は……、あんな事やそんな事をするのだろうか…

俺が会社で仕事をしている最中に!?




と、考えを巡らせている間に、イツキは黒川に呼ばれ、
席を立ち、店を出て行ってしまうのだった。




posted by 白黒ぼたん at 19:07 | TrackBack(0) | 日記
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