2016年04月04日

大欠伸






思わず、
清水が見入ってしまう程、それは立派な大あくびだった。
当のイツキは見られているとは気付かず、一緒に出てしまった涙を手の甲で擦りながら、んんん…と、唸り声を洩らす。
それからもう2,3回、中途半端なあくびをして、それでも晴れない眠気に、困ったように首を振って、
机の上に両腕を投げ出して、猫の様に伸びをして、
顔を上げたところで、ようやく、清水と目が合ってしまった。


「………あ…」
「…お前…、……相変わらず…、面白れぇな……」


清水は半分笑いながら、そう言う。
イツキは少し恥ずかしかったようで、それを誤魔化すように、唇を尖らせて余所を向く。


「何?…お疲れ?」
「…別に、疲れてなんて、ないです」
「はは。…お盛んだな。黒川さんが、離さないってカンジ?」




清水はイツキの顔を覗き込むようにして、そんな嫌味を言ってみるのだけど
イツキの反応は、清水が思っていたものと少し違っていた。



イツキは、黒川との一夜を思い出してか、はにかんだ笑みを浮かべ
「………ん」、と
艶っぽく、返事をするのだった。





posted by 白黒ぼたん at 21:37 | TrackBack(0) | 日記
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