2016年04月23日

李とイツキ






イツキが事務所へ行くと、そこには、リーが一人パソコンに向かって作業をしていた。
イツキはぺこりとお辞儀をして、「ここで、マサヤと待ち合わせをしているので…」と言って、ソファに座る。

リーは一ノ宮とは違い、イツキにお茶を入れてくれる訳でも無く、
事務的に頭を下げると、自分の作業に戻る。
イツキはなんとなく居心地が悪くて、辺りをキョロキョロ眺め、普段は読まない新聞を捲ってみたりする。



「喝什麼嗎?」
「……えっ?」
「咖啡可以嗎?」
「……は…い……」


リーに何を言われたのかサッパリ解らなかったが、コーヒーと言われたような気がして、とりあえず頷くと、
案の定、コーヒが出て来た。
イツキは礼を言い、カップに口を付ける。

日本語は不慣れなのだろうか…、中国人なのだと、黒川は言っていた。
ならば二人の会話はどうしているのだろうかと、イツキはリーを横目で伺いながら、ぼんやりと考えていた。




やがて扉が開いて、一ノ宮が入ってくる。



「…ああ、イツキくん。今日もお疲れさま。社長も直に見えます。…リー君もありがとう、運送屋と連絡は付きましたか?」
「ええ。船便が少し遅れたようですが、明後日には届くとの事です。受け取りには私が行きます」




自分と時とはうって変って流暢な日本語で話すリーに、イツキは驚き、顔を上げる。
視線が合うと、リーは少し馬鹿にしたように、にやりと、笑った気がした。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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