2016年05月16日

勤勉イツキ






授業と授業の合間。
いつものように清水は、イツキの動向を伺う。
イツキは、机に向ったまま、
熱心にノートに何か、書き付けていた。


「お勉強?…エライね」


半分馬鹿にしたように声を掛けるも、イツキはチラリと視線を寄越しただけで、すぐにノートに戻る。
清水はそのまま、丁度空いていたイツキの、隣の席に座る。


「真面目じゃん。どうしたの?」
「……ちょっと、休み、多かったから…。ノート、写さないと……」
「ふぅん」


清水は頬杖を付き、舐めるようないやらしい目付きで、イツキを上から下まで眺めていたのだけど、
イツキが、まるで相手にしてくれないので、ふんと鼻を鳴らす。
やがて、前の席の梶原が戻って来たので、仕方なくそちらと話をする。


「……あいつ、何?……そんなに勉強、好きだったっけ?」
「イツキは、…ちゃんとやってますよ。もう赤点も無いし、次のテストだって、準備してるし…」
「ふぅん…」

「…たまに、波があるけど。…ヤなカンジの事があると、それを乗り越えるみたいに、勉強するけど。
あいつ、ここを頑張る事が、なんか、自分を守る唯一の手段って、感じ……」





梶原は、イツキの現在の詳しい事情はもちろん、何も知らない筈なのに、そんな事を言う。
清水は少し意外そうな顔を見せ、もう一度イツキを見て、……今はイツキに、何が起こっているのだろうかと……思った。


posted by 白黒ぼたん at 22:11 | TrackBack(0) | 日記
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