2016年05月24日

朝風呂・4






「……なに、それ……」



黒川は風呂から出てしまい、浴槽に一人残されたイツキはそう、つぶやく。
声は思ったよりも浴室に響き、自分の耳に届いてから、これではまるで自分が、何かを期待していたようだと気付く。


「………」


イツキは少し押し黙り、ふんと鼻で息をして、勢い、湯船から立ち上がる。
湯あたりしたのか、頭がクラクラする。倒れそうになるも、壁に手を付きながら、どうにか浴室を出た。


用意してあった下着を身に着け、タオルで髪の毛をゴシゴシやって、足元にあった洗濯物を乱暴に洗濯機に放り込む。
扉を開け、リビングに出てみるが、そこに黒川の姿は無かった。





まさか、もう、部屋を出てしまったのかと、ドキリとする。
けれどすぐに、キッチンから物音がして、安心する。

安心してから、また、そう思ってしまった自分に嫌気が差した。





黒川は冷蔵庫を開けていたようだった。パタリと閉まる音がして、黒川がキッチンから出てくる。


肩にバスタオルを掛けただけの姿は、目のやり場に困る。
手にビールを2本持っていた黒川は、その内の1本をイツキに手渡すと


「…服を着てどうする?…また、脱ぐのに?」


そう言って、笑い、寝室へと入って行った。




posted by 白黒ぼたん at 22:59 | TrackBack(0) | 日記
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