2016年06月11日

ミナヅキイツキ・5






『…急に電話してごめん、梶原。…あのさ、英語の課題なんだけどさ。あれって、ワークの方を見ればいいのかな…』
「……ん?……ああ、うん。……え?」



土曜日の夕方。
イツキから掛かってきた電話に、梶原は素っ頓狂な声で答える。



「ワークの訳文、写した方がいいけど。……え、イツキ、今、課題やってるの?」
『…うん。……メリーとケンが美術館に行くってやつだよね……』
「そうだけど。…え、お前、週末、出掛けるって言ってなかったっけ?」
『……うん。……出掛けなくなった……』


急に出された大量の課題に、イツキは、週末は予定があるから出来そうもないと言い、
最悪、梶原にノートを見せて欲しいと、前もって、そんなお願いまでしていた。

予定が無くなり、自分で課題を片付けようとするのは、良いことだけど、
梶原にはイツキの予定と、それが無くなった理由が気になって仕方が無かった。



「…な、なあ。だったら一緒にやらない?…どっか、ファミレスとか…、俺ん家でもいいし。…メシでも食べながら…」
『……んー…、……そうしようかなぁ…』
「そうしようぜ、な! じゃあ、駅前に6時でどう?」


『解った。………あ、ううん。やっぱ、行かない。……ごめんね、じゃあね』




そう言って、イツキの電話は切れる。

梶原はケータイを握りしめたまま、しばらく途方に暮れる。

ただただ、無駄に、気分を上げ下げしただけで、後に残ったのは何とも言えないモヤモヤだけだった。






posted by 白黒ぼたん at 22:05 | TrackBack(0) | 日記
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