2016年06月14日

ミナヅキイツキ・7






『…よう、イツキ。今、すぐ近くまで来ているんだが…メシ、行かないか?
駅の向こうの焼肉屋、お前、好きだったろう?』

「………行きません」




イツキの空腹と寂しさを知ってか知らずか、夜には西崎からそんな電話が掛かって来たのだが、
とりあえず、断るだけの余裕は残っていた。



『なんだよ、つれねぇな。……この前はあんなに、可愛い顔、見せたのによ…』
「この前はって……」


一瞬、イツキは、西崎が言う「この前」を忘れていたのだけど…すぐに思い出す。
加瀬に誘われ、行った先に西崎がいて、よく解らない内に抱かれてしまった。
……自分にとって、食事とセックスは一緒くたなのかと、思い知る。

『お前は、食欲も性欲も、蟒蛇だな』と、どこかで黒川が笑っている気がする。




「……あんなのは、もう、無しです。西崎さん。…俺、学校だって、ちゃんと行ってるんです…」
『ふぅん。……あ、そうそう。社長からお前んトコにビール届けろ、とも言われてるんだよなぁ…』
「……え…?」



意外と有りそうな話に、イツキは言葉を止め、考える。
多分、西崎がここに来るための口実だと思うし…万が一、本当だとしても、ここに来られては困る。



「俺、昨日、マサヤにあったけど、…そんな話、聞いてないです」
『ん?…そうかぁ?……はっはっは』



それは、からかい半分、あわよくば…といった様子。
小馬鹿にした笑い声に、イツキはムッとして、そのまま電話を切ってしまった。





posted by 白黒ぼたん at 22:21 | TrackBack(0) | 日記
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