2016年06月15日

ミナヅキイツキ・8







その夜、イツキはなかなか寝付く事ができなかった。
西崎の「ビールを届けに行く」という話は、嘘だろうとは思っていたが…
万が一という事もある。

何しろ、西崎はこの部屋の鍵を持っているのだ。



「……いや、いくら西崎さんでも…、そんな事したら、マサヤが怒るでしょ?
………しない、………よね…? ……西崎さん、そんな酷い人じゃ無いよね……」



布団の中で何度も寝返りを打ちながら、そう一人ごち、
よくよく考えれば、西崎は、それをしてもおかしくない位、酷い人間だと思い当たる。


「……本当に、先輩の、お父さん、なのかな……
ぜんぜん…、……ちがう………」



そんな事を考えながら、やっとうとうとし始めたのは、もう、空が白み始める頃で。
夢には、清水との、楽しかった思い出や、楽しくなかった思い出が、ごちゃまぜになって出てきたりした。







カチャンと、鍵の回る音がする。
ドアが開くも、チェーンが掛かっていたため、跳ね返り、バタンと大きな音がする。
それから、何度も、ドアをバタバタとやって、開かないと解ると、今度は激しく蹴り出した。


最初の物音で目を覚ましていたイツキは
ベッドから飛び起き、寝室の扉の後ろに身を潜め、息すら、止める。




posted by 白黒ぼたん at 21:41 | TrackBack(0) | 日記
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