2016年06月16日

ミナヅキイツキ・9






「…イツキッ、いるんだろう?……開けろッ。……イツキ!」


やがて、早朝のマンションには似つかわしくない怒号が聞こえてくる。
聞き覚えのある声にイツキは驚き、今度は転がるように大慌てで、玄関に駆け寄る。


「……マサヤ…!?」


ドアチェーンのため、数十センチしか開かないドアの合間から、明らかに不機嫌顔の黒川が覗く。
あと数分、イツキが出てくるのが遅ければ、おそらくどこぞからでも工具を探して、チェーンを切断していたに違いない。


「…ま、待って。開けるから、一回、ドア、閉めて……」


イツキはそう言って、一度、ドアを閉めると掛かっていたチェーンを外し、改めて、ドアを開く。
黒川は入ってくるなり、イツキを、ジロリと睨み、


パシャリと、頬を、平手で打つ。






「お前は目を離すと、すぐに、これだ。部屋に男を連れ込むな。
ヤルならもっと、上手くやれ。……まったく、どエロにも程がある…」


黒川は悪態をつきながら部屋の中に入り、リビングや寝室を覗き、風呂場の扉を開ける。
どうやら、イツキが、部屋に男を呼び入れたと、思い込んでいるらしい。

玄関のチェーンは、普段、黒川が来る予定がある時には、掛けられていない。
もしくは、直前に連絡を入れ、チェーンを外させるのだが、今日はそれも無かった。


「…どこだ?……ベランダからでも逃がしたのか…?」


黒川はトイレの扉を開けながら、玄関前に立ったままのイツキに声を掛ける。



そして、どうして自分が叩かれたのか、理由が解らず呆気に取られるイツキを見て、ようやく、

自分の勘違いに気付いた。



posted by 白黒ぼたん at 23:07 | TrackBack(0) | 日記
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