2016年06月26日

ミナヅキ・最終話







「前に、一ノ宮さん、マサヤの傍にいるのは大変だって…、覚悟がいるって……」
「ああ、言いましたね、そんな事。……イツキくんが、一度ここを離れて、戻って来た時ですね」
「うん。……俺、その時は、ただ、そんなものかなって…、あんまり…、感じなかったんだけど…」


イツキはコーヒーを一口飲み、ふうと息をつく。
自分の思うことを、きちんとした言葉で相手に伝えるのは、難しい。


「マサヤの事、前ほど嫌いじゃないし、傍にいてもいいんだけど…、ほら、マサヤって…、普通じゃないじゃない?
好きとか、嫌いとか、大事にするとか、しないとか…そういう、ラインが…、……変…」

「そうですね、確かに…」

「そういうの、全部、解って…、マサヤの傍にい続けるのって……、やっぱり、覚悟、決めないと、駄目だよねぇ…」



最後には、イツキは、まるで自分自身を説得するような口調で話す。
そしてもう一度、ふうと息をつき、どこか遠くに視線をやる。


「イツキくん」
「…はい?」
「…社長の傍に居続けることは、なかなか難しい事だと思いますが…。
社長は、間違いなく、あなたを必要としています。
どうか、雅也を、よろしくお願いします」





そう言って頭をさげる一ノ宮が、まるで娘を嫁にやる父親のようで
その事に、一ノ宮とイツキも気が付いて

大事な話の最中だというのに、二人で顔を見合わせて、笑ってしまうのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:49 | TrackBack(0) | 日記
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