2016年06月29日

油断大敵






「…なんだ?」
「ううん。…なんでもない」



二人の部屋で。
ソファに座り、軽く酒を飲みながら、書類をガサガサやっている黒川を
イツキはキッチンの内側から眺め、少し、微笑む。
それに気づいた黒川は、怪訝な表情を浮かべる。


「…肉。…焦がすなよ」
「ああ、はいはい。…もうちょっとかな……」


黒川がどこぞから調達してきた肉は、霜降りの、見るからに上等な肉で
例えイツキが、ただ塩コショウして適当にフライパンで焼いたとしても、美味しい事は間違いないだろう。

焼きあがった肉を切り分け、皿に盛り、リビングのテーブルに運ぶ。
黒川の水割りを新しく作り直し、自分も飲み物を用意して、ソファの足元の床に、ぺたんと座る。



「…美味いな」
「ね。焼き方が、丁度だったね」
「まあ、こんなもんだろう。肉が良いからな…、イツキ、書類にこぼすなよ」



二人で肉を食べながらそんな事を言い、黒川は、相変わらず書類に目を通し、イツキは、ソファに座る黒川の足に、もたれるように身体を寄せる。

うっかり、

こんな時間が幸せなのだと、思ってしまう。




「イツキ」
「……はい?」
「明日、ちょっと付き合え。…戸田社長と、メシだ」
「………はぁい」




そして、今しがた感じた自分の思いを、慌てて、打ち消すのだった。




posted by 白黒ぼたん at 21:41 | TrackBack(0) | 日記
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