2016年08月04日

坩堝・18






「…初めまして。コーディネーターの南屋です。若いね、いくつ?」
「……16…です」


横浜の事務所に着き、妹は、小綺麗なオフィスに通される。
オフィスにはフランクな服装をした30代前半の男がいて、リーと小声で話しをする。
黒川は不在で会えないと解ると、妹はさすがに困惑し、この場から立ち去ることを考えるのだけど…

ミナミヤと名乗った男は、人懐っこい和やかな笑みを浮かべ、妹に取り入る。

「へえ、高校生かぁ。やっぱ、肌がキレイだよね」
「…そんな…」
「お、笑顔、可愛いね」


さすがに中学生では敬遠されると思い、妹は、歳を2つほど誤魔化してみるのだが、おそらく、それはバレてはいる。
そして男にすれば、女性は、若いほど、ありがたい。


「バイト探してるんだって?…モデルさんみたいなの、どうかな?」
「…え?…そんなの、あたしに出来るんですか?」
「もちろん。イロイロあるんだよ。それこそ、グラビアから近所のスーパーのチラシまでね。はは」


男は冗談めかして笑い、妹も、つられて笑う。
確かに、いきなりグラビアで水着モデルと言われては、にわかには信じられないが、ちょっとした場面の、ちょっとしたモデルなら、出来そうな気もする。


このオフィスの上の階に、スタジオがあると言われ、ちょっと見学してみないかい、と言われる。



リーは、馬鹿な少女が悪い男に連れて行かれる様子を、ただ静かに見ているだけだった。




posted by 白黒ぼたん at 22:29 | TrackBack(0) | 日記
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