2016年08月13日

坩堝・24






「……ああ、ウルサイ。…もう、いい加減にして」


イツキが開かずの扉を叩き続けて5分…10分ほど過ぎた頃だろうか、
カツカツとヒールの足音を立て、一人の女性が階段を上がって来た。
女性はケータイを耳に当てながら、誰かと喋っている風で、扉の前に立つイツキを見ると、嫌そうに溜息を付き、そう呟く。

階下の事務所にいたその女性は、ショートカットの黒髪。黒いタイトスカート姿。
凛とした綺麗な顔立ちは、どこかで見た事があるような気がした。

女性は扉の前に来るとイツキを一瞥し、ケータイに向かい「…南屋さん、開けて」と言う。
どうやら中の男と、通話していたらしい。
…少し遅れて、リーも、階段を上がってくる。


何がどうなっているのかと、イツキは息をのみ、身構える。
すると…カチャンと鍵の開く音がして、扉が開き、中から辛うじて衣服を纏った妹が出て来た。



「……由紀…」
「お兄ちゃん…!」



妹はイツキの姿を見つけ、駆け寄り、抱き付く。
イツキはとりあえず妹が無事であることに安心するも、何故急に事態が変わったのかが解らず…女性と、妹の後ろにいた南屋という男と、女性の後ろにいるリーの顔を、交互に見遣る。



「もう。面倒な子、寄越さないで下さいよ」


最初に口を開いたのは、南屋だった。女性に向かい、ため息交じりに、そう言う。


「ごめんなさい。こちらも、ちょっとした…ミスで。…でも、若いだけで、大した子じゃ無かったでしょう?」
「まあね。…お兄ちゃんの方が、綺麗な顔してるよね」



南屋はイツキを見て、ふふと笑い、そう言う。
それを聞いて女性は、少し面白くないといった風な顔をする。
その横顔に、イツキは、…女性が誰なのか、思い当たる。





posted by 白黒ぼたん at 00:08 | TrackBack(0) | 日記
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