2016年08月14日

坩堝・25








「……秋斗…くん…?」

イツキが名前を呼ぶと、女性はチラリとイツキに視線を流し、「…気付いていなかったの?」という表情を浮かべる。

確かに、服装から見れば、女性なのだが
そう気づいてみれば、顔は明らかに、秋斗だった。


「……え、なん…で…、そんな格好…。……なんで、……ここに…?」
「似合うので。…それに、この方が受けも良いですし、まあ、便利なので。…それよりも…」


イツキの疑問に秋斗はさらりと答える。
本人が言う通り、もともと中性的な美しさを持つ秋斗のタイトスカート姿は、似合っているし、違和感もない。
仕事で付き合う人種の、受けや通りを思えば、このスタイルを選ぶのは、一つの手なのだろう。

こと仕事に関しては、秋斗は、徹底している。
だからこそ、今回のこの騒ぎは、気に入らない。



「…わざわざ横浜まで騒ぎを持ち込まないで下さい。リーさんも、こんな子連れて来ちゃ駄目でしょ?」
「…金になるバイトを探していると言われたので…、丁度良いかな、と…」
「こんな子、潰しもきかない…。…駄目ですよ、新しい子を入れる時には、事前に言っていただかないとね」
「……了解」


イツキの目の前で秋斗とリーは、幾分、親し気に、そんな話をする。
秋斗が、きちんとした立場にいることも、…自分を嫌っているリーが、秋斗とはちゃんと話をしていることも…何となく、腑に落ちなくて



イツキは唇を、真一文字に、結んだ。





posted by 白黒ぼたん at 00:33 | TrackBack(0) | 日記
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