2016年08月15日

坩堝・27






「…妹さん、送って来たの?優しいお兄ちゃんだねぇ。何、君、秋斗さんの知り合いなの?
あの人さ、めちゃくちゃ綺麗だよねぇ、仕事も出来るし。
…黒川社長のイイ人だって、本当かねぇ?…あ、何か、飲む?」


イツキが南屋の向かいの席に座ると、南屋は一人でベラベラと喋り出す。
イツキが静かに一瞥すると、それも楽しいようで、ニヤリと笑う。



数分前。
イツキが妹と事務所のビルを出ようとした間際に、この男に呼び止められ、後でこの喫茶店に来るようにと耳打ちされる。
理由は『妹の恥ずかしい画像が残っている』で、十分だった。


南屋はアイスコーヒーを飲みながら、憂鬱な顔のイツキを、じろじろと見る。
こんな仕事をしている男なのだ。直感で、イツキは特別なのだと、気付いていた。

妹よりも白い肌。艶気。赤い唇が、少し、開く。



「………どこまで、したの?」
「…ん?」
「……妹。……最後まで、した?」
「あ、いやいや。脱がして、触ったくらいだよ。は、は…」


その答えに、イツキは少し安堵したようで、表情が緩む。
その一瞬の隙に、南屋は、見とれる。
綺麗な顔をしているのは勿論なのだが、あどけなさと言うか、可愛さと言うか……そんなものの奥から、酷い色香が滲み出て…匂う。


「…あー、でも、裸の写真でも、出回っちゃマズイでしょ?…撮影の、違約金、なんてのも、…発生するかもよ?」
「払うよ。…いくら?」
「…んん?」


伏し目がちに淡々と、本来であれば常識外れの話を続けるイツキに、南屋は、
……イツキは、ホンモノなのだと、確信する。
テーブルの上に置かれたイツキの手に、自分の手を重ね、
指先で、甲を撫ぜ回してみても、イツキは動じることもない。


「……まあ、カネの話も野暮か。俺、お兄ちゃんに、興味あるんだよね。
……一発、ヤらせてくれない?」



南屋のストレートな提案にも、イツキは表情を変えることなく。
「それで、全部、無しにしてね」と言って、席を立つのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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