2016年09月02日

酔っ払いイツキ







「………飲み過ぎだ」




夜の会食が終わり、黒川はイツキを抱えるようにして店を出る。
覚束ない足取り。イツキにしては珍しく、悪酔いしたようだ。


「……佐々木さま…は?」
「帰っただろうが。今日中に大阪に戻るそうだ。…お前とはまた今度…と、言っていたぜ」
「……なんだ。……おれ、……ちゃんと準備、して…きたのに…」


店前に停められていた迎えの車に乗る。
イツキは苦しそうに息をしながら、そんな言葉を絞り出す。


「……ちゃんと。……マサヤに、……言われたから。……じゅんび…」
「そうだな。はいはい」


酔っ払いの戯言に、黒川は面倒臭そうに答え、それでも、手を伸ばしイツキのネクタイを少し緩めてやる。
シャツのボタンを一つ、二つ、外すと、イツキは少し楽になった様子で、そのまま黒川の肩にもたれ掛かる。


「…吐くなよ?」


「……ほんとは、……やだったんだけど。……マサヤに、……いわれたから。
……でも、そう思ってたら…、のみすぎちゃった。


……ごめんなさい…」


半分眠りかけながら、イツキは、そう謝る。
黒川は驚いたようにイツキを見遣り、少しだけ、嬉しそうな顔をするのだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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