2016年09月09日

理由・4







黒川はイツキの隣に座る。
南屋は慌てて立ち上がり、黒川に深々と頭を下げ、挨拶をする。
それから前期分の報告書やら決済書やら…書類の入った封筒を広げ、一通り、真面目な仕事の話をする。
黒川は解った、解ったという風に手をひらひらとさせ、煙草に火を付けると、隣で大人しくしているイツキをチラリと見る。

イツキも、黒川を見る。
視線が絡むと何となく気まずくて、不機嫌に、顔を背けてみたりする。



「……それと…、黒川社長。……その、お兄ちゃんなんですけど……」



イツキと黒川の微妙な間合いに気付き、南屋が口火を切る。
イツキは、今度は南屋を見て、何を言い出すのだろうかと息を飲む。



「…横浜で会ったんですけど…、イイ子じゃないですか。…今度一緒に、仕事、出来ませんかね?」
「仕事?…こいつとか?」
「一本、撮らせて下さいよ。絶対、イケますって!」
「…ふぅん」


黒川は紫煙を燻らせながら、可笑しそうに鼻で笑い、また、イツキをチラリと見る。



「…どうする?イツキ。…お前と仕事したいってよ?」
「……やらないよ、……そんなの…」
「ずい分と気に入られたな。どうせまた、大サービスしたんだろう?」
「してないってば!」


そう、イツキが怒鳴ると、黒川は堪えきれずと言った風に、声を上げて笑い出す。
南屋は、そんな二人のやりとりを、少し不思議そうに眺めていた。




posted by 白黒ぼたん at 22:39 | TrackBack(0) | 日記
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/176815586
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
フェスタ・26 by はるりん (12/14)
フェスタ・25 by ぼたん (12/13)
フェスタ・25 by はるりん (12/13)
フェスタ・24 by ぼたん (12/12)
フェスタ・23 by ぼたん (12/12)
フェスタ・24 by はるりん (12/12)
フェスタ・23 by はるりん (12/11)
フェスタ・21 by ぼたん (12/09)
フェスタ・21 by はるりん (12/07)
フェスタ・19 by ぼたん (12/05)