2016年09月11日

理由・5






「……さて、行くか。…南屋、書類は事務所に置いて行ってくれ、一ノ宮がいる」


黒川は、やりとりに飽きたのか、おもむろにそう言って立ち上がる。
南屋は慌てて書類を封筒にしまいながら、質問の答えはどうなったのかと、イツキと黒川の顔を交互に見遣る。


「…え、社長…、……お兄ちゃんは…?」


諦めが付かない南屋はそう呟く。
黒川は半分歩きながら振り返る。

すぐ後ろに付いて立っていたイツキの髪の毛を、くしゃりとやる。


「これは、駄目だ。俺のだからな。…一度、ヤれただけでも、ありがたく思え」



そう言うのだった。









イツキは


黒川と訪れた馴染みの寿司屋の奥の席で、日本酒を飲みながら
自分が、何に苛立ち、何に、…許されたのかを考えていた。

妹の一件の後、黒川の傍に居着いてしまったのは、多分、理由がある。
気付かない振りをしていたのだけど、やはり、思い当たる理由、そのままだったコトに、改めて気付く。



「………マサヤはさぁ、……横浜で…、秋斗くんと、………イイ感じなの?」



聞くつもりではなかったのだけど、思っていた事が、言葉になってしまった。





posted by 白黒ぼたん at 00:00 | TrackBack(0) | 日記
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