2016年09月30日

台風の日・5







「カップラーメンあるぜ?味噌?しょうゆ?」


ガウンを羽織って風呂場から出ると、清水はポットに湯を沸かし、カップラーメンの封を開けていた。
イツキと清水の濡れた服はソファの背もたれに掛けられ、靴には、タオルが入っていた。

清水の気遣いにイツキが感心しているのを、清水自身も気付いたのか、冗談めかして笑って「気が利くだろ?」と言う。

「…うん」
「はは。惚れ直しちゃうかな」


そう言って、お湯を入れたラーメンをイツキに手渡す。
清水は、下着のシャツとボクサーパンツといった格好で、イツキは少し、照れる。
もっとも自分は、裸に、ラブホテルのピンクのガウンを着ているのだから、それは清水も同じかも知れない。

お互い、変な意識をしないように、軽く笑って、目を反らせる。





『こ、こちら新橋駅前です…、…雨も風も一段と強くなり、立っているのがやっとという感じで……』


テレビの画面ではレポーターが傘をひっくり返しながら、必死に声を張り上げている。
イツキはソファに座り、清水はベッドの端に座り、ラーメンを食べながら、台風情報を見守る。

あと1,2時間もすれば、酷い状況からは抜けられるようだけど、
その1、2時間を、何をして過ごせばいいのやら、困る。



posted by 白黒ぼたん at 00:57 | TrackBack(0) | 日記
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