2016年10月02日

台風の日・6







ラーメンを食べ終わり、二人はまだぼんやりと、テレビの画面を眺めていた。
話したい事が無いわけではなかったが、何から話して良いのか解らずに、丁度良い言葉を頭の中で探す。


「…課題、…出来たら、…また学校に持って行くのかな?」


とりあえずイツキがそんな事を聞くと、清水は「…あ?ああ」と答え
それで、また、しばらく押し黙ってしまう。


「…でも、まあ、それで済むならイイよな。一学期、ギリギリだったんだろう?」


そう言う清水に、イツキは、こくんと頷く。


「…先輩は、進路とか、考えてるんですか?」
「情報系の専門学校、いくつか見てるんだけどな。…まだ、解んねぇや…」


清水の真面目な返答に、イツキは驚いて、清水の顔を見返してしまう。
てっきり清水は親の…西崎の、仕事を手伝うのかと思っていたし、そうでなければ、ノープランなのだろうと、勝手に思っていた。


「お前は?」
「俺っ?……俺は……」


逆に聞き返されて、返事に詰まる。
とにかく学校を卒業することだけを目標にはしているが、その先となると、まだまだ漠然としていた。

決めてしまうのが、怖い気もしていた。
それが叶わない時の絶望感、…なんてものを、器用にも先に感じる事が出来るのだ。



「……とにかく、卒業して…、……何か、働いてみたいな。……ちゃんとした事。
それで、一人で、生活してみたい。ひとりで、生きてみたい……」





posted by 白黒ぼたん at 00:08 | TrackBack(0) | 日記
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