2016年10月03日

台風の日・7






イツキの話を清水は真面目な顔で聞いていた。
あまりに真面目な顔なので、逆にイツキは心配になって、「……変?…それって…」と尋ねる。
清水は、ふふっと笑い、「いや」と言い、そして、「…お前も、大変だな…」と呟くのだった。



それからまたしばらくは、二人して、テレビの画面を眺めていた。
沈黙が続き、耐えきれなくなったのか、次に口火を切ったのは清水だった。



「…夏休み中に免許、取るぜ。車。もう、合宿の予約入れてるんだ」
「えっ……、取れるんですか?」
「ああ。俺、もう18だし。二輪はもう、持ってるし」
「…先輩、…バイク、…乗るんでしたっけ」


ソファですっかり身体を伸ばしきっていたイツキは、顔だけ向けて、ベッドの上の清水を見る。
ガウンの胸元や足元が肌蹴ていることには、気付かないらしい。


「……バイクの鍵。……最初、先輩、……鍵、探してましたね」
「…え?」
「……最初。……保健室で…、俺が、寝てる時……」
「あ、ああ。……そうだったな」


話の流れでつい気軽に、一番最初に出会った時の事を、思い出してしまった。
イツキが保健室のベッドで休んでいた時、清水が、バイクの鍵を探しにやって来たのだ。




『オカベイツキ?』




と、初対面なのに、清水はイツキの名前を呼んだのだ。



posted by 白黒ぼたん at 23:58 | TrackBack(0) | 日記
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