2016年10月12日

小さな変化








イツキと黒川は、二人の部屋で夕食を取っていた。
買ってきたローストビーフをパック詰めのカット野菜の上にあけ、ドレッシングをか
けたものと、チーズ。
ディップ状のゆで卵などを適当にフランスパンの上に乗せ、水のように、ワインを飲む。


「…2,3日、忙しくなる。…週末はこちらに来なくてもいいぞ」
「横浜?……秋斗くんと?」
「……ああ」


黒川は仕事の話などを、しばらく留守にすると言う。
また、横浜の話を持ち出せばイツキの機嫌が悪くなるだろうと…半分、面白がっていたのだけど、イツキは特に変化もなく。
まだ袋に入ったままだった生ハムを皿に出し、「はーい」とだけ返事をする。


黒川は、若干、拍子抜けする。
指先で生ハムを摘み、そのまま口へと運ぶイツキを見て、…いつの間にか何かが変わったのかと…思う。



「…何?…マサヤ?」


黒川の視線に気づき、イツキが尋ねる。


「……お前。……素手で食うなよ」
「……ふふ」


イツキは笑い、塩気の付いた指先をぺろりと舐める。
黒川はイツキに『秋斗のことは気にしなくなったのか?』と聞いてみたかったのだけど
それも藪蛇になるような気がして、あえては尋ねず
自分のグラスを煽り、イツキの、小さな変化が何なのか、探ろうとしていた。






posted by 白黒ぼたん at 23:55 | TrackBack(0) | 日記
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