2016年10月17日

幕間






向こうの部屋に腕時計を忘れた気がして、イツキは夕方、一人、新宿へ向かう。
日本一の歓楽街と言われる場所も、イツキにしてみれば、勝手知ったる場所で
客引きや酔っ払い、雑多なざわめきの間を、何食わぬ顔で通り抜ける。


それでも、危険が無い、訳ではない。


腕時計は二人の部屋の、キッチンのカウンターに置き忘れていた。
イツキはそれを腕にはめ、ついでにと少し部屋を片付け、乱れたままだったベッドを整える。
キッチンのゴミをまとめていると、飲みかけのワインのボトルがあって、うっかり…飲んでしまう。
休憩とばかりソファに座ると、途端に眠気に襲われ、…ついうとうとしてしまう。


部屋を出たのは数時間後。時計はすでに、真夜中と言われる時間。


広い通りに出てタクシーを止めようと、歩き出す。
途中に黒川の事務所があるのだが、階段の下に、黒づくめの男が数人立っていて、反射的に身を隠す。
黒川の留守中に、黒川に関わる男たちに会っても、良い事は何一つないだろう。

馬鹿なイツキは馬鹿なりに考え、事務所の前を通らない回り道をしようと、脇の、細い路地に入っていく。
小さな小さなスナックや、よくわからない店の名前が書かれた看板が並ぶ、暗く、路地だった。



そして簡単に、悪い男に、捕まってしまう。



posted by 白黒ぼたん at 21:47 | TrackBack(0) | 日記
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