2016年10月19日

幕間・2






路地の中ほどに焼き鳥屋がある。
イツキも黒川と何度か訪れたことがある、美味しい店だ。
何気に視線をやると、ちょうど扉が開き、中からケータイを耳に当てた男が出てくる。
ひとしきり捲し立てた後、ケータイをポケットに仕舞い、向こうもイツキに視線をやる。


「……お。……イツキじゃねぇか」


それは黒川と仕事の付き合いがある、小林という、同じ世界の男だった。
イツキとも…2回ほど、…関係を持ったことがある。
イツキはありきたりの挨拶をして、ぺこりと頭を下げる。


「久しぶりだな。…黒川ん所に寄ったんだが、留守の様だな」
「…はい」
「メシ、食ってたんだよ。お前も一緒にどうだ?」
「いえ、結構です。…失礼します」


そう言ってイツキはまた頭を下げ、歩き出すも…
それで簡単に終わるはずもなく。
小林はイツキの二の腕を掴み、引き寄せる。


「まあ、そう言うなって。メシだけだ。
黒川には貸しもある。それくらい、付き合えよ?」


そう言って、イツキが断る隙も与えずに、そのまま店内へ、引き入れられてしまった。





店内の一番奥の席に、連れだという太った男の背中が見えた。
その向かい側、最奥壁側にイツキは座らされ、まるで蓋をするように通路側に小林が座る。
これでイツキは勝手に席を立って、逃げ出すことも出来なくなる。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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