2016年10月20日

幕間・3






「ビール飲むか?…あっはっは、心配すんなよ、薬なんて入れねぇよ。瓶ビールならいいだろ?ホレ、目の前で開けてやるから、な」


小林は頼んだ瓶ビールの栓を目の前で開け、イツキのグラスに注ぐ。
飲み物に何か悪いものでも混ぜられたら…と、心配が無い訳ではなかったので、その点は少し安心する。
焼き鳥も大皿に山盛りに積まれていて、誰が、どれを取るのか解らないようなので…多分、これも、大丈夫なのだろう。
イツキは鶏皮を一本もらい、手早く食べ、グラスのビールを一気に煽る。


「ごちそうさまです。じゃ、俺、帰ります」
「おいおい、まだ話も何も、してないだろう?」
「…俺、勝手に…、人と会ってると…、怒られちゃうんです。……黒川に…」
「ふぅん。じゃあ、黒川の了解があればいいんだな?」


帰ろうと中腰になったイツキをなだめるように、小林はイツキの腰に手をやる。
……実はこの手は、この後もずっと、イツキの腰に添えられている。
そして、ケータイを取ると、あろうことか黒川に電話を掛ける。




「……もしもし、黒川か?……おう、俺だ。………はは、今日はその話じゃねぇよ。
……あのな、今、お前の事務所の前で、イツキに会ったんだがな………」





黒川と話し始める小林を横目に、イツキは気が気ではない。
落ち着かない気持ちを抑えるために、また、グラスに口を付けてしまう。
空だったイツキのグラスにビールを注いだのは、目の前の、太った男だった。
この男とイツキは初対面だったが、男は当然、イツキの素性を知っているのだろう。
舐めるようないやらしい目つきでイツキをジロジロと眺め、生唾を飲み込み、鼻の穴を大きく膨らませ、にやりと笑った。




posted by 白黒ぼたん at 22:52 | TrackBack(0) | 日記
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