2016年10月21日

幕間・4







「……いいってよ」
「…えっ?」
「一緒にメシ。良かったな、お許しが出て」


目の前の太った男に気を取られている間に、小林と黒川の電話は終わっていた。
そして、あろう事か、一緒に食事をする了解を得たと言うのだ。


「……ごはん、だけ?」
「…あっはっは、黒川と同じ事を聞くんだな。……どうだろうなぁ…。……イツキ、手羽先食うか?少し、辛いやつ…」


小林は上機嫌でイツキの皿に新しい串を乗せ、イツキは反対に不機嫌顔になって、目を伏せる。
その様子が可笑しくて可愛くて、小林と太った男はお互いちらりと目を合わせ、ほくそ笑んだ。




確かに。黒川は小林に許可を下した。
理由は単純に、現在小林に数百万円分の貸しがあるのと、今それを拒んでみても、どうにもならないからだった。
…捕まった時点で、イツキが悪い。
『…メシ、だけならな。…それ以上、手、出すなら、逆に高くつくぜ?』と、
一応、釘を刺してはみたものの、あまり役に立ちそうもないだろう。





「…何で最近、オモテに出て来ないんだ?もう、引退か?」
「……引退…。まあね、そうだよ。……もう、そういうの、しないから…」
「へえ?…勿体ねぇな。お前なら稼げるだろうに…」


イツキは手羽先の両端を指先で持ち、口につけながら、そう言う。
骨の周りの肉を歯でほぐしなが、どうして黒川は、肝心な時に自分を守ってくれないのだろうと、半ば、呆れるのだった。



posted by 白黒ぼたん at 23:56 | TrackBack(0) | 日記
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