2016年11月11日

悪循環・終






加瀬がイツキの諸事情のどこからどこまでを知っているのかは、知らない。
それでもある程度の事は知っているようだし、その境界を聞いて確かめては、藪蛇になるのだろう。
それにしても、同じ内容を話すにしても、加瀬は、嫌な言葉を選んで来る。
思わずイツキがムッとし、抑えようとしていた感情が覗くと、それを嫌らしく摘み上げ引きずり出す。



「いまさら、清純ぶってどうするの? ああ、でも、黒川さんには知られたくない話かな?」
「…先生って…、本当に…、……やな人ですね…」
「それも、いまさらでしょ?…でも、最初に僕に近づいたのは、君だよ?」



加瀬はイツキの顔を覗き込む。
顎に手をやり、自分に向かせる。
イツキは顔を背け、視線を逸らせ…ようとしたのだけど、それにももう飽きてしまった。

負けじと、自分も正面から加瀬を睨む。
それを見て加瀬は、また、面白そうにクスクスと笑う。



「そう、怖い顔をしなくてもいいじゃない。ギブアンドテイクは君の十八番でしょ?」
「…俺の、取り分は?」
「うーん。…平穏な学校生活かな」


加瀬の手が、滑り、イツキのシャツの一番上のボタンを外す。
指先が胸に触れるとイツキは少しだけびくんと震え、小さく、溜息を漏らす。



「………俺、卒業までに、何度あんたに抱かれるんだろう?」
「……ふふ。……そうだねぇ…」



そう、言葉を濁し、誤魔化し、
加瀬はイツキの手を引くと、どこか行為に耽れる場所へと、連れて行くのだった。







おわり
posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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