2016年11月24日

横浜のマサヤ






黒川は横浜で、渋々、昼間から夜中まで仕事に励んでいた。
立ち上げたばかりの横浜の事務所は、役所がらみの用事も多く、昼間から動かざるを得ない。
そして、夜は夜で、付き合いがあり、なかなか忙しい日々を送っていた。


「社長、いつもの駅前のホテルに部屋を取っていますが…、すぐ向かいますか?
南屋さんからのお誘いもありますけど…、中華街で……」


仕事も一段落し、軽く飲みながら一服していた黒川に、秋斗が尋ねる。
今日はメンズのスーツを纏い、メガネなど掛け、すっかり仕事モードだったが
垂れ流す色気は変わらないままだった。

黒川の向かいに座っていた一ノ宮も、書類の束を整理しながら、伺うように黒川を見る。
ここの仕事は、ほぼ、秋斗に任せていた。
正直、秋斗がここまできちんと仕事が出来る子になるとは、一ノ宮も思っていなかった。


「どうしますか?雅也。明日は特に予定はありませんし、少しゆっくりなさっても…」
「…そうだな…」

黒川は吸っていた煙草を灰皿に押し付け、ソファに深く沈み、脚を組みなおす。
腹も減ったし酒も飲み足りない。今から慌てて、新宿に戻る理由は無い。


無いのだけれど。



「いや。今日は帰るかな……」



そう言って、勢いをつけて、ソファから立ち上がるのだった。


posted by 白黒ぼたん at 00:06 | TrackBack(0) | 日記
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