2016年11月28日

黒川同様






「…バイト?…お前が?…高3の、この時期に?」



10時から14時までの美容室の手伝いが終わりケータイを見ると
梶原からのメールと着信が、溢れていた。
そう言えば、最近は連絡を取るのも忘れていた。
どうしても、どうしても、ほんの少しの時間でも良いから会えないかな、と言うので、
新宿で良いならと呼び出し、駅ビルの上階の、洋食屋で待ち合わせる。

ランチのパスタとハンバーグとドリアを頼み、サラダを食べながら、連絡が途絶えた一週間ほどの出来事をざっと説明する。

イツキが美容室でバイトを始めたと聞くと、予想通り、梶原は素っ頓狂な声を上げた。



「…バイトって程じゃないよ。…知ってる人の、美容室の、ちょっとした…お手伝い…」
「お前が美容室で何、するの?…あれって資格とか、免許とか…、要るんだよなぁ?」
「そんなスゴイ事はしないよ。受付に座って、来たお客さんと話して…、コーヒー入れて…」
「……へぇ…」


梶原はフォークにスパゲティを絡めたまま、口をぽかんと開ける。
黒川同様、イツキに仕事など出来るはずはないと…、心のどこかで思っていたのだろう。



「……ま、まあ、ほどほどにな。勉強だってあるんだし…」
「…来週ぐらいまでかな…。夏休みだけって、話だし…」
「……ふぅん…」



そう言う梶原はどこか不機嫌そうで、イツキにはその理由が解らない。
これもまた黒川同様。仕事が出来ないイツキは自分が守り、助けてやらなければいけないと…勝手に、思っていたのだろう。


イツキは、梶原の顔をチラリと見て
デザートのチョコレートパフェのスプーンを、ぺろりと舐めた。




posted by 白黒ぼたん at 20:16 | TrackBack(0) | 日記
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