2016年12月08日

フクザツな気持ち







「……なんで、イツキ、ここでバイト始めたんですか?」
「…ん?……たまたま、ね。人がいなくて、…タイミング的にね…」
「…イツキと、…そんなに親しいんですか?……何で?」
「まあ、ちょっとした知り合いって言うか…。…ふふ。…まあ、イロイロあってね…」


梶原の質問を適当にはぐらかしながら、ミツオはハサミを動かしていく。
梶原とは初対面だったが、梶原が、イツキが好きで、イツキの様子を見にわざわざ店に来たのだという事は、すぐに解った。
そして、自分を気に入らないのだろうな…と、いう事も解った。


的を得ないミツオの返事に、梶原は不機嫌そうに頬を膨らませる。
そんな様子を可愛いと思えるのは、ミツオが大人なのと、一度はイツキと関係を持った事からの余裕なのだろう。







カットの仕上がりは、良かった。
本当は文句の一つでも言ってやろうかと思ったのに、その隙も無かった。
ミツオは梶原に「また、おいで」と親し気に言い、梶原は首だけを動かし「はい」と言う。
不満を持つ理由はないのだけど、大人で、ちゃんとした仕事を持っていて、イツキと仲が良いというだけで、どうにも梶原は落ち着かなくなってしまう。





会計をするために受付に戻ると、イツキが微笑む。
お辞儀をして、「ありがとうございました」などと、言う。


梶原は、イツキがなんだか自分から離れてしまったような気がして
酷く不安で、寂しくなってしまうのだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:18 | TrackBack(0) | 日記
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