2016年12月09日

不審者








夕方、店を手伝いに来たヒゲ店長の妻は、怪訝な表情を浮かべ、夫に耳打ちをしていた。

日本一の繁華街と言われるこの街では、それなりの、人相の宜しくない人種は珍しくはないのだけど、
それでも、その男は一際険しい顔で、表通りから店を見上げていたのだと言う。



「……もしかして、ショウ君が…何か、仕掛けて来るんと違う?」
「…いや、いくら何でも、それは無いだろう……」



ショウと言うのは、突然この店を辞めた、トップのスタイリストだ。
どこぞの権力者と組み、新しく店を立ち上げるのだと聞いている。
今後はライバルとなるこの店を潰しに来る…とは、思いたくはないが、そう心配する声もチラホラと上がる。



「…どうしました?」



声を潜め話す二人に、ミツオが声を掛ける。
その後ろには、雑用でいつもより遅くまで残っていたイツキがいた。




「…いえ、何でもないわ。多分、気のせい…」
「……ん?」
「…ちょっとね、店の前にコワオモテがいたから…、何かなって…」



店長の妻は誤魔化すように、笑って、そう言う。
本当に、多分、気のせいなのだろうと、大きなガラス窓の傍まで行き、下の通りを覗く。
ミツオと、イツキも、何気に、覗く。


そして何かを見つけたのか、イツキが「……あっっ」と、短い叫び声を上げた。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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